日本IBM、大量リストラの背景 究極の「業界中抜き」が到来する将来を予測しようとする記事はまず的中しません。大外れ=予測の逆を行く、ってこともあまりありませんが、記事が煽るほど劇的に社会が変わることもあまりない。アジられてあせって動く人を食い物にする人が勝つ。
例えばインターネットが与えるインパクトの予測。15年前には様々な未来予想図が描かれました。確かに「変わる」「変わる」という声は大きかったし、実際に変わりました。しかし、このような世界になると誰が予測したでしょうか。つーか、このような世界ってのはどのような世界?切り口によって見え方は全然違います。どのような予測も部分的には当たって、部分的には外れて、部分的には完全にアサッテの方向に行く。そんなもんだと思います。後は程度の大小です。
もちろん明らかに未来が変わる前触れってのはありますが、どれほど注意していても常に正しい予測を立てて動くことは難しい。将来リストラされる事業部や倒産する会社に勤めていると何とかなく「怪しい」なと思うことはあります。しかし、そこで「近いうちにリストラされる/倒産する」という予測の元に次の手を打つことは難しい。実際には*事後的に*あー。やっぱりリストラされた/倒産したよ、と思うのが関の山です。
まあそれはさておき本題に戻ります。
引用先の記事を非常に乱暴にまとめると、IBMと富士通のリストラという事象から、IT業界の今後の変化が不可避である旨を述べ、その後最近よく聞くジャーゴンである「クラウド」を出して今後は「クラウドコンピューティングの台頭が予測される」、「クラウドの本質が「中抜き」と「グローバル化」であるとすれば、日本のIT業界に上流工程以外未来はない」と結論付ける内容となってます。
まあ、論理のステップが乱暴だったり、仮定に仮定を積み上げたりしているわけで、大したアレではありませんが、重箱の隅をつついてもしょうがないので何となくクラウドコンピューティングについて考えてみました。
クラウド・コンピューティング。乱暴に言ってしまえばGmailとかGoogle Appsとかでしょうね。
つーことは、いわゆるASP+データセンターの大規模なモノってところですかね。そうなるとなんか別に新しくないな。ま、ジャーゴンってそんなものだね。
ってことは、どうもそんな仕組みがIT業界全体を席巻するとは思えない、というのが正直な感想です。セキュリティの問題もあるし。Google Docsで業務回す会社ってあるの?個人でそんなことしてたらむしろ会社に怒られますよね。それから業務ったっていろいろあるし、すべてがクラウド化できるわけじゃないのは自明。
今後サーバの統合や仮想化が進んでいくことは実感としてあって、その流れてIT系の人員が不要になると言われれば、それはそうかもしれない、とは思います。でもだからと言って人員が半分に削減されるとも思えないですね(5年、10年のスパンではそうなるのかもしれませんが、そこはもう無責任予想の範囲)。ASP、グリッド、クラウド、いずれも空しいジャーゴンに過ぎないように思います。
エンジニアの必要知識を考えてみても、実は10年前とそんなには変わらないですね。UNIXアドミ、TCP/IP(ネットワーク)、C(C++)、Java(10年以上現役ですね。素晴らしい)、スクリプト言語(Perl、awk、sedなど)。
プロマネだとかITILだとかUMLだとか、エンジニアの眼を紛らわすような怪しいTipsがあふれて来ていますが、私見ですがそんなものは浅薄な技術(「なんとかHack(笑)」とか「Tips(笑)」)を売り込んで業界での主導権を握りたい大企業の下手くそな陰謀です。普遍的かつ有用な知識とは思えません。一定の経験とそれを反省して抽象化して頭の中で組み直す力があれば、そんなメタレベルの知識を頭で理解するのなんて不要。むしろ下手に頭でっかちな人間が出来上がるだけ、害悪とすら思います。そういう意味ではクラウドがどうこうするから上流工程が重要になる、というのも私に言わせれば全くのナンセンスです。「ソリューション営業」向けの記事らしいので、乱暴なのもむべなるかな、といったところでしょうか。
まあ、流行を押さえるのは重要でありつつ、でも普遍的なもの(5年~10年一線で使える知識)の方が重要なんだ、ってことですね。
以上。
0 件のコメント:
コメントを投稿