2010年6月3日木曜日

瀬戸内寂聴・ひろさちや対談集「仏教・エロスと救い」主婦の友社

★★★★☆☆:寂聴さんは生々しい

女性の観点から見た仏教が興味深いです。ロジックじゃない、センスだ、情念だという迫力があります。不倫だとか浮気だとかいうテーマが絡むところも面白い。寂聴さんならではでしょうか。

面白かったのは、ひろさちやさんは、頑張ったらあかん、努力したらあかん、という逆説的なことを言うわけです。私も、頭では分かっても、そうはいっても日々がんばらなしゃあないし、子供にだって少しは頑張ってもらわなあかんでしょう、と思って、ひろさん、それは無理ではなかろうか、と思っておりました。

寂聴さんも、私も頑張ったからここまでこれたし、好きなことをとにかく頑張った、だからやっぱり頑張るべきではないか、という旨の発言をしたのですが、ここで私は忽然と分かった気がした。寂聴さんには悪いけど、好きなことをやってきた人生の成功者が、他人に、頑張れ、と言ってはならんのだ、と。それはもう傲慢、残酷以外の何者でもない。

頑張ってもどうにもならないことがある。どんなに努力しても成果がでないことがある。才能が、人脈が、コネがない人間がいくら頑張っても、ほとんどはダメなんだ。

でも、だからこそ、やはり少しは頑張るべきだと私は思う。何故か。うーん。すっかり悟って穏やかに生きる人にも劣らず、人生にあがき、もがいて、苦しみながら祈る人間は尊いからかなあ、とそんなことを考えました。

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