2010年2月10日水曜日

森孝一「宗教から読む「アメリカ」」講談社選書メチエ

★★★★☆☆:読む価値あり。タイトルどおりの、良質な情報が得られます

初詣、お盆、葬式仏教などのテキトーでゆるい宗教的態度しかもたない平均的日本人である私からすると、キリスト教がアメリカ社会と個人へ与えてきた影響の大きさにはけっこう驚かされます。

もちろん、諸外国では宗教がシリアスな存在感を持っていることは知っていました。例えばアメリカの大統領は敬虔なクリスチャンであることが好まれるとか、無宗教者は警戒される(だからとりあえず外国人に宗教を聞かれたらブッダと答えておけ)とか、神が世界を創造したと本気で信じているアメリカ人は結構多いとか。

しかし、そんなトリビアなレベルの話ではありません。アメリカのアイデンティティ、アメリカの未来と過去、政治、人種問題、全てにキリスト教が深く関係しているのです。そのことがよく分かりました。実際驚いた。無知でした。

意外だったのは、全米ライフル協会ってのがありますね。ライフルを持つ自由を保証せよという日本人からすれば恐ろしい集団なわけですが、あの協会はキリスト教的にはコンサバティブで、政治的にも古き良きアメリカを志向するコンサバティブ。そしてアメリカ流強欲資本主義には反対しているのだそうな。へぇ。

なぜそんなことに私が驚いたかというと、わたくしの勝手な思い込みがありまして、強欲資本主義とライフル協会というのは私の中で一枚岩だったのです。ともにアメリカの資本主義と自由を代表する存在と思ってたのがひっくり返された。まあ私の認識が浅すぎた、それだけの話なんですけどね。

それに一言でキリスト教といっても、プロテスタントありカソリックありバプテストありアーミッシュありモルモン教あり、ホンネとしての人種差別もあったり、さらにリベラルだコンサバだのがあって実に大変なようです。

アメリカというのはつくづく金と宗教が動かしている国なのだなあ、と感心することしきりでした。

3 件のコメント:

  1. はじめまして。森先生の助教授時代の弟子です。先生の著書で検索して、こちらに来ました。

    「プロテスタントありカソリックありバプテストありアーミッシュありモルモン教あり」

    カトリックはローマ教皇を頂点とする単一組織ですが、プロテスタントは多くの教派に分かれます。バプテストもアーミッシュもプロテスタントの中の一教派です。プロテスタントと別物ではありません。

    それから、モルモンは「キリスト教系新興宗教」ですが、キリスト教主流各派から「キリスト教の仲間」だとは看做されておりません。

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  2. なるほど。
    わかりやすいご指摘ありがとうございます。

    速読乱読なもので細かい整理ができないままアップしております。恥ずかしいか?と言われれば恥ずかしいと答えます。

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  3. このコメントは投稿者によって削除されました。

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