2010年2月16日火曜日

務台理作「現代のヒューマニズム」岩波新書

★★☆☆☆☆:ある意味では面白いが

戦争と貧困が人間性に対する敵である。両者に根本的に対応するためには帝国資本主義の打倒が必要である。通奏低音のように流れるマルクシズムへの傾倒が興ざめです。この人のいうヒューマニズムとはユートピア的マルクシズムのことか。曲解かもしれませんが。

しかしソ連や中国をあからさまに応援してますからね。一昔前の知識人に対するマルクシズムのパワーは、信じられないほどです。時代が違う。

確かにマルクスの資本主義に対する批判は的を射ています。また、心ある人なら、昨今の強欲資本主義はいかがなものか、と思うのではないでしょうか。でも資本の共有化やプロレタリア独裁がソリューションだろと言われると、どうも違和感が消えません。マルクシズムもまたそれを唱える人間の権勢欲のはけ口となってはいるような気がするから。ユートピアへの憧れも結構ですが、人間の欲望や、暴力としての国家権力を直視すれば、また違った解があるのではないかと思います。

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