2009年10月20日火曜日

In to the wild見た

実にいい映画でした。普段は民放の何とか洋画劇場で、はっはっは。くだらねえ。とか、ふーん。そこそこいい出来じゃん。とか、所詮はやたらと金をかけた消耗のエンターテインメントじゃねえか、といったスタンスでわりと気楽に映画をみるのですが、今回は良質な映画をしみじみと堪能しました。こういう映画をね、銀座とか渋谷のミニシアターで、じっくり見たいんだけどね。まあ、それはもう少し子供が大きくなって、家にいると疎まれるようになってからのお楽しみにしておこうか。

映画の内容ですが、ザックリ書くと、物質文明に絶望し、家族関係にもトラウマを持つ主人公が、大学卒業後に家族に内緒で放浪の旅に出て、いろんな出会いをしたり、いろんな経験をする、というロードムービー、といったところでしょうか。

粗筋は地味なのですが、自然描写と人物描写がいちいち素晴らしくて、二時間以上の間まったく飽きることがありませんでした。

アラスカ、グランドキャニオン、砂漠の荒々しくも崇高な光景。すれ違う人々それぞれの人生とのふれあい。そして主人公の成長。

若さ故のシンプルでまっすぐな人生と、すれ違う人々の、酸いも甘いもかみ分けたような、苦しみを通して矛盾や怒りを受け入れてきたような人生が、衝突することなく交差し、温かい交流が生まれるようすはとても感動的です。ラストにも圧倒されました。

家族ってなんだろう。生きるってどういうことだろう。

古くさいような、青臭いような問いですが、この映画を見た余韻が、そんな形の問いになって、心の中でゆっくりと響いているような気がしました。

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