2008年5月7日水曜日

「醜い親子」??

『トランヴェール - Train Vert』という無料雑誌があります。JR東日本の新幹線の座席ポケットに、通販雑誌と共に配られています。こぢんまりとまとまっていて広告臭も薄く、ぼーっと目を通すには悪くない雑誌です。

このGW、子供を連れて新幹線に乗る機会がありました。新幹線に乗ってしばらくして、子供たちがおもちゃやお菓子に目を奪われておとなしくなっている隙に、缶ビールの栓を空けてこの雑誌の5月号を手に取りました。何気なく読み始めたのですが、冒頭に掲載されていた内館牧子氏のエッセイにいきなりいやな気分にさせられました。

内容は、コンビニのサンドイッチとおにぎりを泣きながら拒否する未就学児と、それをなだめる親についてのエッセイです。
この未就学児は内館氏の足元に「ゴミ」などと言ってサンドイッチを投げつけ、親は彼(彼女)を叱りもせず海苔巻を与えて一緒に食べたそうです。エッセイは、日本の歴史上の少年兵士と目の前の親子を比較して親子を醜いと断罪するものでした。曰く昔の少年は屋外ではモノを食べてはならないと教えられてきた、飢えを我慢して戦いに臨んだ少年に比べ、この親子の醜さはなんだ、云々

言わんとすることは分かるのですが、一言でいえば「大人気ないなあ」という感想です。その場で「食べ物を粗末にさせてはならない」と親を注意するのならともかく、当の本人たちには何も言わずに言わば公共の場であるところの雑誌で糾弾するというのはどうも卑怯ではないかな、という気がしました。

子供を持つ親の立場からすれば、内館氏に断罪された彼らの気持ちも分からないではありません。
・不機嫌な子供は実に、実に、実に扱いづらい
・子供を怒る親を不愉快に思う人は多い(泣く子供よりも子供を真剣に怒る親の方が醜い)
 ⇒ 子供はさっさとなだめたい(内館氏のような人がいるから!)
(もう一つ言えば)
・コンビニのサンドイッチはかなりいまいちである

だから、私にとってすれば、彼らが公共の場で貶められるのは残念な気がしてなりません。一歩間違えば、つまり家族の気分や疲れ次第では、容易に起こり得る状況だからです。(ついでに言えば仮に私が断罪された親の立場だったとして、面と向かって文句を言われたら素直に謝りますし、別にしかられたことにクヨクヨしません。)

いやはや。