2010年5月10日月曜日

今西錦司/吉本隆明「ダーウィンを超えて」中公文庫

★★★★★☆:吉本隆明コテンパン

何となくかみ合わない進化論の会話から、社会論、学問論へ。ここからが面白い。エンゲルスの意義を訴える吉本隆明さん。しかし今西さんは、あんなもの西洋的思想と価値観に染まったもんで今時通用しない、とあっさり否定。大家がそれを超える大家にポカリとやられるのが傍目に大変面白い。

進化は成るべくして成るという今西さんに、吉本さんが、もう少し論理的に説明できないかと突っ込むものの、あんたの言う論理は西洋の論理や。なるべくしてなるも、立派な論理や。との切り返し。見事。

今西さんの前では、吉本隆明もかたなしと私は読みました。やはり、フィールドワークを経て、実際に見て、聞いて、感じてきた人の言葉は違う。養老孟司さんの安定した思想も、長年の解剖作業の成果なのだろうな、と思います。体を使う人は違う。吉本隆明さんも、一流の学者、批評家だと思いますが、ここは今西さんに一本というところでしょうか。

しかし、これが五年前に読んでいたらまた感想は違っていたかもしれません。今西さんは、完全に、しかも自然に肩肘貼らずに、西洋を相対化している。これはやはり、非西洋的なアプローチで結果を出してきた大家だからこそできたのだと思う。昔の自分にそれが理解できただろうか、と想像してみると、はなはだ心もとない気がします。

まあ、とにかく非常に興味深い本でした。

0 件のコメント: