2011年8月29日月曜日

合気道始めました(2)

合気道で呼び起こされる記憶は残り二つ。

一つ目は養老孟司氏です。

古武術の甲野善紀氏との対談で「僕は武道をやっている人を無条件に尊敬してしまうクセがある」旨の発言をなさっていた記憶があります。確か内田樹氏(こちらは合気道)との対談でもおっしゃってた。

文脈はもはやうろ覚えですが、武道を通じて身体をキチンを使っている人は偉い、ということだったと思います。養老孟司氏は、ちょっと前の「脳ブーム」の火付け役っぽい印象があるかもしれませんが、実際には身体とか自然とか、脳を超えた領域を重視した方であります。脳だけじゃないよ、と。

年をとってくると、何となくその辺が分かってきますね。脳だけじゃないよと。

別に難しい話じゃなくて、要するに体が思ったように動かなくなってくる。大丈夫だろうと思っても、ダメだったりする。体がついて来ない。体というものが意識されて来る。

脳だけじゃないと。身体があったと。ま、当たり前のことですけどね。脳だけしっかりしててもしょうがない。身体もちゃんとしなきゃダメだね。やはり脳と身体はつながっておるのだと。

それが一つ。

二つ目。

確か「かもめ食堂」という映画です。

結構前に見たのでうろ覚えなんですが、確かこの映画に主人公の小林聡美が合気道の型を取るシーンがありました。合気道を知らない人が、どうしてぱっと見て「多分合気道だな」と思ったか。打撃系の型じゃないってことは空手系じゃない。それはもう一目瞭然。でも柔道っぽくない。だとすれば合気道だろう。その程度の推測です。前受身と膝行(しっこう?中腰でヒザをつかってズリズリ歩く型)っぽい動きをやっていたような気がしますが、そのシーンがワリと目に焼き付いております。

何となくしっくり来たんですね。

なるほど。これって日本人のアイデンティティなんだなと。そのシーンから、そんなメッセージを感じたのです。異国で仕事をする日本人が、夜に合気道の型をやっている。武道の型を通して、気持ちを整えている。実に自然だ。座禅だとちょっと本格的過ぎるし(?むしろ中途半端か)。ヨガだと浮ついてるしね。柔道や空手だと生々しい気がする。合気道はぴったりだな。

そんなこんなで、合気道っていいんじゃないか、という印象が醸成されていったらしいのです。

(続く)

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