2012年1月4日水曜日

大村大次郎著「あらゆる領収書は経費で落とせる」

ずいぶん挑戦的なタイトルですね。

税金・会計関連の書籍を物色していた時にふと目に止まって衝動買い。

こういう道草もたまには有効だと思ったのです。



一読。

うーん・・・

真ん中あたりから「キャバクラ代を経費で落とすには」とかちょっとアレな思考実験をタラタラやってて、ありゃりゃ。こりゃキワモノ掴んだかなーと。

でも最後まで一通り読んでみたら、何となく得心のいった部分もあって、まあ読んで無駄ではなかったかな、という感想。

一番納得したこと。

■「税法はかなりきっちりできてるけれど、これ運用するの大変だろう」という以前からの疑念が解決したこと。

税務署の現場はワリとテキトーに運用してる(こともある)。

この本を信用すれば、中にはウソを言って税金をふっかけるような税務署の職員さんもいらっしゃるそうな。例えば「個人事業主には接待交際費は認められない」とか。実際は全額経費として認められるはずなのに。

現場の運用が柔軟なのは納得。だって人間だもの。むべなるかな。という気はしつつ、上記の例についてははっきり言って眉唾だなと。

そんな低レベルのミスは、さすがに新入りでもしないでしょう。多分「個人事業主の接待交際費は (全額認められるからといって、そんなテキトーな領収書じゃ) 認められないよ!」といったあたりのやりとりを、センセーショナルに書いただけの予感。
ちなみに接待交際費は大企業は全額損金不算入、中小企業は総額600万を上限としてその9割(540万上限)を損金算入可能。個人事業主は全額損金にできる(ただし多いと税務署からのツッコミが厳しい)って感じだったハズ
二番目。

■福利厚生費を上手く使え

福利厚生費を上手く使えば、給与の源泉所得税も、法人税も減らせる。

例えば、住宅費補助や、旅行費用補助。この辺を会社から社員に出せば、会社としては福利厚生費として損金算入できるし、社員としては源泉徴収されない形で経済的メリットを受けられるから、よい。という話。

その代わり、例えば特定の役員ばっかりが旅行しててもダメよ。それだと損金不算入の役員給与になっちゃうよ。あくまで社員全て機会がなくちゃ。とか、旅行代の補助ルールを労働規約で定めておいたらもっといいよね。とか。ま、当たり前っちゃあ当たり前ですわな。

しかし、この本は「ディズニーランド代を経費で落とすには!」なんて痛いキャプション付けてるんだよねー。

■仕事に関連させろ

仕事に関連する出費なら経費になる。

まあ、これも当たり前。

例えば親戚の大学生に、自分とこのゼミでアンケート取らせて、レポート書かせて、それを買い取って、「市場調査費」みたいな名目で雑費で落とすとか。つまり親戚の大学生への小遣いを、経費で落とせますぜと。

例によってこれにもかなりセンセーショナルなキャプション付けて。

・・・

全般に「税務署に喧嘩売ってます!」的な見せ方だけど、読んでみれば結局は「常識の範囲で」って感じでしたね。

他に面白かったこと。

■税務署の職員さん。一旦「脱税してるんじゃないか?」と目を着けたらスパイさながらの調査をするらしい

税務署の職員さんもサラリーマンだから(所得を完全に補足され、税金ばっちり取られてるから)、自営業者の徴税活動を頑張ってる!

これも得心。

飲食店だったら、実際にそこで食べて飲んで、その売上が計上されてるかチェックするとか、領収書にシミを付けておいて、その領収書がちゃんと保管されてるかチェックするとか。なるほど。

なかなか面白かったのです。

・・・

といいつつも。

何か最近の新書ってこんなんが多いよなー。

三行で要約できるぜ。みたいな。
 (後記:ちょっと本意じゃないな。三行で要約できるのはいいんだけど、内容が軽すぎたり)

まあ、買って損したとまでは思わないけれど、今度本を買うときは、もうちょっと吟味しようと思ったのでした。

それからアレですねー。

わたしもそれほど幅広く税理士さんを知ってるワケじゃないですが、税務署とのやりとりを嫌がってなのか、まっとうな節税提案すらできない(やってない)税理士さんって多いんだろうなーと思います。実感として。

仕訳チェックで毎月お金取って、決算で多めに貰う。このビジネスモデルがひたすら続くことを望んでるだけというか。

最近は税理士業界も厳しいと聞きますが、充分参入余地はあるんじゃねーか?などと思うのでありました。

税理士試験頑張ろう。うむ。

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