2009年12月14日月曜日

「ローマ人の物語」に関してつらつらと

とうとう全部読んでしまいました。いろいろと啓発された本でしたが、全般を通して一神教が有害だと断じているのが面白かったすね。実にもう無邪気というかイノセントに言い切ってる。

確かに塩野さんのローマ史を追って行くとそう見える。ローマ帝国の衰亡期に現れた現世批判の非寛容な一神教。それがキリスト教。

西洋の歴史家はどう書いているのだろう。どうも宗教的バイアスのない塩野さんの方が西洋の研究家よりも的を射ているんじゃないか。そんな予感が消えません。

現世の理不尽から目を背けられるのはいいけれど、その結果、より悲惨な現状が待っているとしたら、どうしようもない気がします。悪循環。

宗教は人間にとっては麻薬のようなものだ言ったのはマルクスだかフォイエルバッハだか。ニーチェがキリスト教批判にあれほどまでに体力をかけたのも、分かる気がしました。

現世の苦しみから目を背けさせるだけの宗教だとしたらしょうがないですよね。それはもはや逃避でしかない。もちろん、人間は現世の感覚的な快楽だけで幸せになれるわけではありませんし、そこに宗教が果たせる役割もあるとは思いますが、それにしてもローマ史を追う限り、キリスト教とは何なのだろう、という疑念は沸き起こります。

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