2010年1月21日木曜日

クロード・ランズマン 高橋武智訳「SHOAH」作品社

映画「SHOAH」で語られた言葉やフランス語字幕のテキストを書籍化したものです。内容はユダヤ人ホロコーストの関係者(生き残りのユダヤ人、ドイツ人、傍観していたポーランド人など)のインタビュー。

「夜と霧」にも衝撃を受けましたが、これもまたヘビーな本です。

しかしまあ、ホロコーストを前にしては人は沈黙するしかないという気がします。なぜこうなったのか。自分がそこに居合わせたとしたら何ができただろうか。いや、何か出来たのだろうか。と、ひたすら反芻する他はない。

周りを見回してもアウシュビッツ的なものやことに遭遇することの多いこと。人は規則に従って他人を押し潰すことに何のためらいもないのだなあ、ということがよく分かる。自分の頭で考え、自分で正しいと思うやりかたで生き延びるのはなかなか難しいことなのです。それがホロコーストと何の関係があるのか。私には、ホロコースト的なものが、今、近くで息づいているように思えてなりません。ホロコーストとわれわれは、思ったよりも近い距離にいる。私はそう考えます。

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