2009年10月10日土曜日

高給が欲しければリスクを取ればいい?

あるいは、給料が低いのはリスクのない仕事をしているからだ、という主張。

派遣社員や年収の低い正社員に対して上から目線で言われる言葉です。

大した仕事じゃないんだから、給料が安くて当然じゃないか。ついでに言えばあなたがそうなったのも自業自得だろ?自己責任さ。

一見正論ですが、この発想には想像力が欠けてます。自分の意志だけでは、未来は引き寄せられないから。それにそもそも選択肢が人によって限られているから。

極論ですが、例えばインドの乞食の家庭に生まれ、こっちの方が乞食としての稼ぎがいいからという理由だけで腕を切り落とされた子に、どんな自己責任があるでしょうか。どんなリスクが取れるでしょうか。バングラディシュで奴隷として売られるために産まれた子も同様です。

極論にすぎる。そうかもしれません。でも恐らくは人によって与えられるチャンスは違うし、取れるリスクも違ってくる。努力とも才能とも関係ないところで可能性はある程度決定されている。それは間違いないと思います。

だから、リスクを取らなかったから給料が安いとか、そんな下らない仕事をしているお前が悪いとかいうのは、あまりに傲慢な言い方だと思う。想像力が欠けていると思う。

もちろん、人によって才能も違います。私はプロ野球選手にはなれなかった。科学者にも、そしてSF作家にも。チャンスがあったとして、誰もがそれを生かせるはずはありません。だから、成功した人は、そのことを誇っていいと思います。限られたチャンスと自分の才覚を生かして成果を出したのですから。

でも個人の才覚が全てではない。色んな幸運や人脈、出資や協力に支えられて人の成功があると思う。だから成功者がリスクがどうとかいって安易に自らの傲慢さを正当化したり、うまくいってない人を見下したりするのは、その人の世界観の貧しさ、想像力の貧しさを示しているだけじゃないか。そんな気がします。

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