2009年12月25日金曜日

吉田茂「回想十年」中公文庫(1/4)

★★★★★☆:昭和~平成の自民党がよく分かる

非常に面白いです。敗戦後日本の復興を見届けた人ですからね。読むにつけなるほどねえと感心しきり。そういえば麻生さんって吉田茂の孫だっけな。やれやれ。

この本に出ている言葉ですが、日本の敗戦後の態度を表すのに、潔い負けっぷりという言葉はよく当てはまります。日本民主化というアメリカ進駐軍の意向を汲み取り、良策は従う、日本の実情にそぐわぬものには反対、あるいは代替え案を出す。いずれにせよ、決まったことには前向きに実行する。知日派のマッカーサー元帥のもとで、吉田茂を筆頭として、当時の政治家がどのように復興に取り組んだかが分かって非常に興味深いものがありました。

この時代、明らかにアメリカと日本の間に、言わば親分子分の関係が見て取れます。ソ連に対向するという背景もあったのでしょう。アメリカも単なる占領する対象ではなく、今後の東アジアにおける反共、反ソの拠点として戦略的に日本を捉えていたようです。

次第に日本の主権のもとに政局が運営されるようになりますが、そこに明らかに権威として君臨しているのがGHQ。誰が首相になるのか。そこにすらアメリカの意向が反映される時代でした。敗戦後まもないということもあって、当然だろうなとは思いますが、ちょっと待て。おいおい。今は大丈夫だろうな。民主党鳩山は間違いなさそうだが、自民党の首相ってまさかアメリカが決めてないよな。少なくとも橋龍はアメリカから嫌われていたらしいからいいとして、コイズミさん怪しいよなあ。まあ国民からの圧倒的な支持はあったわけだけど、今となってはそれも怪しかったりして。おっと。脱線。

やはりあの時代の背景に見えるのはソ連とアメリカの影。そして戦後日本を立て直そうという政治家たちの強い意志ですかね。必要とあればマッカーサー元帥への直言も辞さない吉田茂の行動力。良かれと思えばアメリカに対して「assertive(でしゃばり)な態度は反感を買うからよしたほうがよい」とすら指摘する。当たり前っちゃあ当たり前なんですが、今の時代、それだけの気概と迫力のある政治家がいますか。

しかし、ちょっと前にすっぱ抜かれた、アメリカ強欲資本主義を批判した鳩山論文で、アメリカからは逆にその論文に対する批判があったような記憶があります。日米関係を大事に思うなら、そんなことは言わないほうがいいよ。そんな牽制するような報道がなされたような記憶も。アメリカもまた、余裕を失っているのかもしれません。あるいはアメリカ強欲資本主義の原理主義勢力が強いのか。

取り留めがなくなってきたのでここで一旦終了。

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