2010年5月28日金曜日

ひろさちや「『狂い』のすすめ」集英社新書

★★★★★★:いい

面白かった。鬱が癒された、というと大げさですが、それに近い読後感があります。力が抜ける。前向きになれる。

ところが、ところがですね。これを妻に勧めて読んでもらったところ、疲れた。腹が立ったというのですね。

そうはいっても努力しなければだめでしょう。世間が狂ってるだとか傲慢だ。みんな一生懸命生きてるのに。

私とは全く逆の感想を持ったわけです。二人で話し合って、何とかお互いの理解を確認しましたがね。

これは自ら世間に属していると思っている人と、世間に倦んでいる人との違いだと思います。ひろさんの著作に反感を持ったとすれば、それはすなわち深刻に悩まずに生きているということだろうから、それはそれでいいのかもしれません。なんてことを言うとまた傲慢だとか怒られるかもしれませんが。

確かに仏教にはあからさまというか身も蓋もないなところがあって、その辺は一回思い詰めないと分からないのではないか、と。人と人の間には深遠が広がっておる。

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